転活を始めたけど「何がしたいのか分からない」の構造

転職したいと考える人の多くに話を聞くと、ある共通点があります。それは「何か新しいことをしたい」という気持ちを持っているけど、その「何か」が明確ではないということ。多くの人が「自分は何をしたいのか」と思い悩み、転活で足踏みしてしまいがちです。このような“ブレ”があると、面接官と話していても、すぐにボロが出てしまうもの。ではなぜ、転活をする多くの方が胸を張って「これをやりたい」と言い切れないのか、考えてみたいと思います。

「やりたいこと」のとらえ方に問題がある

いきなりですが、あなたは「何がしたいですか?」自問自答してみてください。20代〜30代の人に「何をしたいんですか?」とたずねると「企画の仕事がしたい」「メーカーで働きたい」など、職種や業界で答える方が非常に多いです。しかし、本来「やりたいこと」は、このような職種や業界ではとらえにくいものです。「アットホームな会社で働きたい」「プライベートを大事にしたいから、土日休みで働きたい」など、あなたの理想とする状態があるはずです。他にも企業理想や風土、待遇など、いろいろな希望があるはずです。そのうえで「どんな状況でいたいか」「どうゆう状況なら仕事を頑張れるか」という視点で考えれば、本当に「やりたいこと」が見えてきます。

 

「興味がある」で志望すると失敗する理由

カラオケ機器の営業をしていたAさんの事例を紹介します。私は、主に投資用不動産を販売している企業の営業職の求人をAさんに紹介しました。しかしAさんは「投資用不動産には興味がない」という理由で、応募をする気がないとのことでした。Aさんは洋服に興味があり「新しいファッションを市場に紹介していきたい」という夢を持っていて、アパレル業界のバイヤーの求人に挑戦していたのです。ただ、バイヤーという職種は相当なスキルを求められる上、人気が高い狭き門。Aさんは、相次ぐ不採用通知に頭を抱えてしまいました。そこで私は再度、Aさんに同じ投資用不動産の営業職の求人を「この企業は、これからどんどん海外に市場を開拓しようとしている。市場を作っていく仕事です」と、紹介しました。Aさんはそれまで、業界や職種でしか自分のやりたいことをとらえてこなかったので、転活の幅を狭めてしまっていたのです。「投資用不動産を売る仕事」という側面だけでなく「市場を開拓していく仕事」ととらえたことで一気に視野が広がり、行き詰まっていた転職活動に活路を見出すことができたのです。

 

「安定した企業」を志望する転活が失敗する理由

よく「安定した企業」に転職したい。という方がいます。不景気になるほど「安定した企業」を志望する人が増えていくのです。多くの人が将来に不安を覚え「安心したい」と望むからなのでしょう。しかし、この「安定した企業」で働きたいという志向は非常に危険。というのも「安定した企業」の定義は人それぞれです。

あなたが思う「安定した企業」とは、どういう企業のことを言いますか。「経営基盤がしっかりしている企業」とよく聞きますが、「経営基盤」とは?従業員数が5,000人いたら「経営基盤がしっかりしている」と言えますか?「安定した企業」の姿を、より具体的に考えていくと、その定義は実に曖昧なものなのです。そして、このような人は「安定した企業」に入社することが目的になってしまっています。いざ入社しても「仕事にやりがいが得られない」「思っていた仕事と違う」というようなギャップが生まれてしまうことが非常に多いです。「入社すること」を目的にせず「入社して働く自分」をイメージしてみることが大切なのです。

 

「安定した企業」を志望していたAさんが100名以下の中小企業を選んだワケとは?

Aさんは「安定した企業に転職したい」と一部上場の有名企業ばかり志望していました。そこで私は「安定した企業とは何ですか?」とたずね、改めて具体的な「安定した企業」の条件について考えてもらいました。Aさんの考える「安定した企業」の条件はこうでした。「シェアが高い商品を持っている」ということ。そこで私は、特殊車両で圧倒的なシェアを誇るB社を紹介しました。B社は、商品自体が一般的なものではありません。さらに知名度の低い非上場企業です。従業員数が100人以下の中小企業。イメージだけでとらえれば「安定した企業」とは言えないかもしれません。しかしB社は、Aさんが考える「安定した企業」の条件をしっかり満たしており、製品の需要も堅調な企業だったのです。Aさんの志望度はぐんぐん高まり、見事B社から内定通知を受け取ることができました。これは、「安定感」というものを単にイメージだけではなく「シェア」という具体的なものを通してとらえられたからこそ生まれた成功事例だと思います。

 

少し視野を広げるだけで、転活はグッと楽になる

不景気な時期は「安定した企業」というイメージを持たれがちな大手有名企業に応募が殺到します。その結果、競争率が上昇。大手有名企業希望者は安定を求めて活動を始めたにもかかわらず、活動が長期化して不安定な生活を余儀なくされることに。また、今は「安定した企業」と呼ばれていても、産業の衰退が激しい現在の産業構造では、10〜20年先もそう呼ばれているかということは分かりません。一般的に大手企業とされる会社が、平気で傾く時代です。こうゆう時期には、知名度の高さや大手ということだけにこだわらず「視野を広げる」ことをおすすめします。有名でなくても将来、有名になれる企業は必ずあります。まずはこれまでの「安定した企業」という曖昧なイメージを捨ててみてください。そして「安定した企業」のどこが、どんなふうに魅力なのか、より視野を広めれば成功のチャンスも広がります。

 

なぜ、夢見た職種につけたのに、たった1年で辞めてしまうのか?

志望通りのIT業界の営業職でキャリアを積んでいたAさんは、IT業界の中でも上流の仕事と言われるITコンサルとへ憧れを抱き、転活を始めました。技術的な知識もあったので、志望通りITコンサルティング会社に転職しました。しかし、Aさんはわずか1年程度でこの会社を退職しています。理由は、同社の業務スタイルがコンサルティングというよりクライアントの言うことを技術者に委ねる「コーディネーター」的な役割が強いものだったから。つまり、自分が描いていた業務が行えなかったということです。「コンサルタント」や「マーケティング」は、企業によって仕事内容が大きく変わる職種です。入社後に自分がどんな仕事をするのか思い描くために、十分な情報収集を行う必要があったのです。転職すること、内定をもらうことが目的になってしまっている方が非常に多いです。入社後にやりがいのある生活を手にできなければ、転職成功とは言えません。ぜひ、入社してから1年後の自分をイメージして会社を選んでみてください。

 

少し視点を変えるだけで一気に転活成功が近づいてくる

小規模の会計事務所で会計士をしていたBさんは、キャリアアップのために「上場企業で経理をしたい」と転活をスタート。しかし、数百万円程の経理経験しかない人が、何十億という数字を扱う上場企業に転職するには、かなりの困難を伴います。Bさんは数社の選考に落ちた後、上場準備中の企業に転職しました。その後Bさんは「上場企業で経理をする」という夢を叶えるため、多忙ながら充実感を持って仕事に取り組んでいるようです。転活を始めた当初の第一目標時はかなえられませんでした。しかし、上場までのプロセスも体験しながらキャリアを積むことができており、転職後の成功例と言えるでしょう。

希望通りの企業に就職したけれど「もっと華やかな仕事かと思っていた」などと不満を持つ人は多くいます。一方、大手を断念し、中小企業に入ったものの、「会社の根幹となる仕事に携われるし、大きな裁量を与えてもらえる」「社長との距離が近くて自分の仕事が経営に直結していることを実感できる」と、イキイキと働いている人も多くいます。「転職」において、どうしても第一志望の企業から内定を受けることが「成功」と思われがちです。しかし、たとえ転活時の希望とは異なったとしても、理想の働き方ができて、能力をを生かしてくれる企業であったり、新たな力を身に付けさせてくれる企業でイキイキと働くことこそが、本当の意味での「成功」と言えるのではないでしょうか。

 

これからいくつか、転職を成功した人と、失敗した人の生の声を挙げていきたいと思います。転活中の方は、ぜひ自分の行動と重ねてみて「今の自分は成功と失敗どちらに向かっているのか」考えるきっかけにしてみてください。

企業セミナーに行って、予想外の新しい人生を手に入れた話

キャリアアドバイザー(CA)に「あなたのスキルは他の分野でも生かせる可能性があります」とアドバイスを受けました。そこでご紹介を受けたのが、プラント機器メーカー。しかし私は経験のあった自動車メーカーを志望していたため、お断りしました。しかし、社会勉強のつもりで紹介された企業セミナーに参加してみたんです。そこで、社会的貢献に繋がる業務だということと、これまでのスキルでも通用する世界であることを実感しました。応募を決めて結果的に内定をいただくことができました。今では毎日、培ってきた技術を活かして充実した日々を送っています。

今回の成功要因は、ずばり興味があまりなくても、企業セミナーに参加したこと。これによって自分自身では気づけていなかった「働きがい」に気づくことができたのです。そして、業界(自動車メーカー)にこだわりすぎなかったことも成功要因のひとつ。まずはある程度柔軟性を持って転活に取り組み、徐々に絞っていけば、本当にやりたいことが見えてくるはずです。

 

給料の高さで選んだ企業を2ヶ月で退職

これまでは、とある機器の販売代理店として営業職を経験してきました。あまりにも退屈な仕事内容と年収の低さに不満を感じて転職活動をスタート。「提案型営業」と「高給」を条件にキギュを見ていました。ホテルのリゾートツアーの営業職と不動産仲介営業の2つの内定をいただくことができました。給料がずっと高かった仲介営業を選んだところ、これが失敗だったんです。営業経験がないのに厳しい営業ノルマが課せられ、わずか2ヶ月で退職してしまいました。また転職活動を開始しましたが、今は2ヶ月で退職したことがネックとなってるようで、書類選考で落とされることが多くなっています。

今回の失敗要因は、給料という分かりやすい条件だけで転職先を決めてしまったこと。さらに、結果的に短期間で退職してしまったことが、その後の転活に大きく影響することとなっています。

 

憧れの職種を諦め、経験を活かせる企業を選んだ結果

洋服と化粧品が好きで、広報という仕事に漠然とした憧れを持っていました。そこで、アパレルや化粧品会社の広報に応募しましたが、ことごとく不合格。頭を抱えていたら「新規顧客獲得やアフターフォローのスキル、マネジメントに関する能力を強みとして意識してみてはいかがですか?」と提案を受けました。全くの異業種なので困惑していると「教育業界から人材紹介業界への転職例はたくさんある」とのことでした。広報への志望をすっぱり諦めた結果、今は人材紹介業界の大手に就職でき、楽しみながら働いています。

今回の成功できた要因は、ずばり憧れを捨て、これまでのキャリアと共通性のある企業を選んだこと。結果的には本人も非常に満足されていて、転職大成功と言っていいでしょう。

 

転職を繰り返してしまった最大の理由とは?

給与の安さに不満を持ち、会社を辞めて転職活動を始めました。CAさんにすすめられた電機メーカーを数社受けましたが、全て不合格。不安が募り、とりあえず前職と同じような技術者派遣会社で働き始めました。しかし結局また給与面で不満が募り、4ヶ月で退職。今はこれまでより高い給与が期待できるメーカーへの就職を目指して活動していますが、2回目の転職がネックになっているようで、なかなか書類が通らない状況が続いています。

その場しのぎの転職をしてしまい、当初の不満を解消しなかったことが、失敗の要因です。そして、短期間で退職してしまったことが、その後の転活に大きく影響してしまいました。

 

転活には「偶然の出会い」も重要

最後に、飲食店勤務の社会人生活2年目であるAさんが、仕事を辞め活動を始めた事例を紹介します。Aさんが転活を決意した理由は、接客など人と接する仕事は気に入っていたものの、不規則な勤務体系が辛くなったため。そこで、土日休みの仕事を希望していました。希望職種については、「なんとなく事務のような仕事がしたい」とのこと。事務職は転職市場においても、大変人気があります。そのため、高いスキルも要求されます。経験がない場合は相当苦戦することが予想されたので、そのときちょうど求人のあった保険会社の営業を紹介されたそうです。Aさんは戸惑いつつも、「試しに」と説明会に行きました。するとその説明会で、子供を育てながら自分で時間を組み立ててイキイキと働いている、先輩女性社員に出会ったそうです。Aさんは「自分もこんな風に働きたい」と思える理想の働き方に出会い、その保険会社に応募して採用されました。

 

アクションを起こさなければ「偶然の出会い」は起こらない

Aさんが転職に成功したポイントは、興味はなかったけれど「行ってみる」というアクションを起こしたこと。これが理想の先輩を「偶然発見」する幸福を呼び寄せたのです。このほかにも、以前、私が紹介した企業に、興味はわかないけれども練習のつもりで書類を応募してみた。さらに書類選考に通ったためにとりあえず行ってみた面接で、「社長と意気投合し入社を決めた」というケースも少なくありません。どのケースも、興味がないからと行動しなければ、新しい可能性は生まれませんでした。

あるデータによると、転職先を決める際の優先項目として「社風」を重視する人が圧倒的多数を占めているそうです。もちろん給与や休日、働きがいも大事です。しかし、長く仕事を続けていこうとすると人の雰囲気が重視されるのです。つまり、何が言いたいのかというと「一部の情報だけで判断せず、積極的に行動する」ことが大切だということ。そこには新しい発見や出会いがあるかもしれないのです。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。転活における成功事例だけでなく、失敗事例も交えてご紹介させていただきました。その結果、「逆に不安になってしまった」という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、不安になってどうしていいか分からない。そんな時は、ぜひこちらのサイトにお立ち寄りください。これからも出来る限り、あなたの転活に活用いただける情報を発信していきます。まずは、アクションすることです。明日にでも、あなたのもとに「素晴らしい偶然の出会い」が訪れますように。

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