「人材=人財」この言葉からもわかる通り、人は会社にとって財産であり、働く人がその会社の成否の鍵を握っていると言っても過言ではありません。パナソニックの創業者、松下幸之助も「事業は人なり」という言葉を残しています。つまり、優秀な人材を採用することが会社の成長スピードを速めるのです。しかし昨今、採用コストは増加しており、人材確保に苦戦する中小企業が増えています。一方で、優れた人材を採用することができ、業績を右肩上がりに伸ばしている中小企業もあります。その違いは何なのでしょうか。この記事では、人材採用に苦戦する中小企業が陥りがちな落とし穴をお伝えします。

採用市場は売り手市場

DODA調べによると、2018年6月時点の有効求人倍率は2.43倍。求人数は2ヶ月連続で最高値を更新しています。かつて「就職氷河期」と言われた時代はとうに去り、今や「超売り手市場」と呼ばれ、求職者が企業を選ぶことができる市場なのです。すると認知度の高い大手企業や有名ベンチャーへ人材は流れ込み、認知度の低い中小企業には良い人材が回ってこない、結果採用ができないという負のサイクルが生み出されてしまうのです。また、少子高齢化による労働人口の減少も加速し、この市場感は続くと予想されています。

優秀な人材が採用できない、定着しない失敗パターン

ここからは採用できない、せっかく入社しても定着しない失敗パターンをご紹介します。

母集団形成ができない

「求人を出しても応募が来ないのは、その媒体の質が悪いのだ」と思っていませんか?今は空前の売り手市場。採用したいと思える人から応募が来ることはほぼありません。数多くの応募の中から、うちの会社に入りたいと思う人を選ぶ、という時代はとうに去っています。この市場に求人掲載をするのみでは、応募を獲得することは非常に難しいでしょう。

また、スカウト型媒体を利用してスカウトメールでの集客をはかっても、なかなか返信がこないという声もよく聞きます。スカウト型媒体が多く増えた今、人気の求職者にはスカウトメールが殺到し、多い人では1日20通以上受け取る方もいます。レッドオーシャンの中に同一文面のスカウトメールを一斉送信しても、なかなか返信されないのが現状です。

母集団形成の際に重要なポイントのひとつとして、「求めるターゲットを正しく設定する」ということがあります。求めるスキル・能力だけをまとめてしまい、求めるスキルが過剰だと、その分競争率・採用難易度も上がり、出会うことも難しくなってしまいます。

また、求める人材がどのような会社に転職したいと考えているのか、というペルソナ設計も重要です。その上で彼らにアピールできる自社の魅力は何か、ともう一段階深掘りして採用戦略を立てることが必要となります。

内定辞退されてしまう

応募があっても、辞退されてしまうパターンもあります。「ぜひ入社してほしい!」と思い応募者に出会い内定を出しても、結局他社へ意思決定されてしまうことも。こうなるとせっかくの採用活動も水の泡、採用0人で失敗に終わってしまうケースもあります。

リクルートキャリアのデータによると、転職を実現した方の平均応募社数は18.27社。多くの求人に応募することで、内定を手にする方が多いことがわかります。

また、内定を得られる人材は、他社からも声がかかっているもの。滑り止めとして内定を保持しているだけで、実はその企業への入社意思は薄く、希望企業から内定がもらえたら他社は辞退する、というケースもよくあります。

入社後のフォロー不足

入社後においても、入研修やフォロー不足により新入社員が孤立してしまい、立ち上がる前に退職してしまうケースが非常に多いです。誰しも新しい環境では不安が大きいもの。新入社員に寄り添い、不安や心配事をひとつずつ解消していくフォロー体制や研修制度が必要になります。

採用ができたかをゴールにするのではなく、採用した人材が活躍できるフィールド構築、フォロー体制ができているのかまでを考えることが重要です。

辞退を招く2つの要因

選考中の対応スピードが遅い

平均応募数が18社以上ともなると、面接日程がどんどん埋まっていき、返信が遅い企業や選考回数の多い企業は辞退されやすくなります。転職を決めた求職者の6〜7割が、一番最初に内定をもらった企業に意志決定をするとも言われていますので、スピードが遅いことは致命的です。書類選考結果や日程連絡は、24時間以内に行うことが鉄則です。

面接官の習熟度が低い

質問内容が一般的すぎたり、面接時に「選考をする」という高圧的な態度で接してしまうと、応募者は社風とのミスマッチを感じ、辞退してしまうケースもあります。採用活動は、候補者を選定する場だけでなく、自社も「選定される立場である」ということを忘れないことが重要です。

人材を採用できない企業の特徴

求人広告の営業マンの言いなりになってしまう

求人広告の営業担当者は、広告枠を売ることがゴールのいわゆる「ハコ売り営業」がほとんどです。そのため、うまい話をしたり、しつこく電話をかけたりして、とにかく求人広告を出してもらおうとします。枠が売れれば彼らは評価されますので、中小企業が優秀な人材を採用できたか、ということまで関心はありません。そのため、営業担当者の言われるがまま出稿しても、中小企業が採用成功に至ることは難しいでしょう。

求人広告へのこだわりが強すぎる

こちらも非常に多いケースです。求人広告に細かく口出しをしていませんか?求人広告に細かく指示を出し、採用側が満足する原稿を出稿しても、成功確率は非常に低いでしょう。なぜなら、採用側の伝えたいメッセージが求職者の心に響くことはまずないからです。採用成功を実現するためには、正しい採用ノウハウに基づいた求人原稿設計が必要不可欠です。そして、残念ながら求人広告の営業担当やライターも、正しい採用ノウハウを持っているケースは非常にまれです。

条件面の相場感をつかめていない

例えば営業のリーダーポジションを採用したいと思った場合、中小企業が月給18万円で採用することは可能でしょうか?残念ながら、ほぼ不可能です。これは極端な例ですが、このように条件面の相場感をつかめていない採用担当者が非常に多くいます。給与だけでなく、福利厚生、勤務時間、休日など、あらゆる条件面を加味して、自社がどのような立ち位置にいるかを自覚できないのでは、優秀な人材を獲得することは困難です。最近だと副業OKやリモートワーク、フレックス制など最新の働き方を導入し、求職者を惹きつけている企業が増えています。自社の働き方をすぐに見直すことは難しいかもしれませんが、他社求人を見ながら相場感を掴んだり、他社の取り組みなどを研究する必要があります。

まとめ

採用ができない中小企業が陥りがちなパターンを紹介していきましたが、当てはまるものはありましたか?有効求人倍率が急増し、レッドオーシャン化している現在の採用市場では、従来の採用手法がすでに通用しなくなる上、競争率も上がっています。採用ができていない場合、これまでの母集団形成の手法・内定者のフォロー方法などを含めた採用体制の見直しが必要です。また、採用担当者だけが頑張るのではなく、組織として採用を強化していくことが重要です。人材の重要性が叫ばれる現在において、採用や人材育成にどれほど力を入れられるかが、企業の命運を分けていくことになるでしょう。

 

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