政府も推奨している「ワークライフバランス」。仕事と生活の両立が難しいと感じる人が増えているため、「社員の働きやすさ」は、企業側も働く社員側にも注目されています。大企業や中小企業など会社の規模にかかわらず、できる限り早く取り組みたい「ワークライフバランスの実現」は、「働き方改革」や「ノー残業デー」、「リモートワーク」などの対策から始まります。

就活や転職では、仕事ではやりがいや充実感を感じ、自分や家族の時間を大切にしながら豊かな生活をかなえたいという求職者も増えています。そこで、このワークライフバランスの実現の取り組みの現状と今すぐ始めるべき取り組みを紹介します。

ライフワークバランスとは

企業にも各社員にもメリットの多い「ワークライフバランス」とは、目標とする人生を送るために、持っているスキルを活かしながら仕事と生活を両立させることです。

企業がライフワークバランスの取り組みを考えるのは、優秀な人材を確保することで、生産性を向上させることにもなり、社員の満足度や仕事への意欲を高めることにもなります。

米国から始まったこの仕事と生活の両立を目指す働き方の中核となるのは「働き方を変革する」ということ。日本でも同じように「ワークライフバランス」のキーワードは、「変化」です。そのため、企業が意識して「ワークライフバランス」に取り組むと、仕事と生活双方の責任を果たしながら、充実した毎日を送れることを目指すものになっています。

ワークライフバランスが注目されるようになった背景

米国や欧州などでも「ワークライフバランス」に取り組む企業が、ヘッドハンティングを防いで優秀な人材の確保することにつながり、モラルアップの成功につながっています。また、生産性の向上につながるため、企業戦略のひとつとして掲げている企業も増えてきました。

政府がこの「ワークライフバランス」を掲げ始めたのは2007年12月です。「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」が策定されて、各企業の取り組みに加えられるようになっています。

この取り組みが注目されるようになった理由は、「人材獲得と定着」が目的となっています。新卒や第二新卒、中途採用を含め、採用してから数年が経過し、ある程度会社になれてきたりスキルアップしたりすると、転職してしまう……こうした企業の悩みを解決するのにも効果的です。

ワークライフバランスの各社取り組みの現状

内閣府の発表したアンケートの回答を見ると、「言葉も内容も知っている(平成25年版 現状編第3~4章)」と回答できた企業は、20.8%にとどまっています。つまり、2割程度の企業での認知度にとどまっているため、実践されているかとなるとさらに少ないかもしれません。

コンサルタントなどの導入から「ワークライフバランス」の取り組みを始めている大企業もみられます。とはいえ、多くの企業で浸透中という状況なため、これから取り組みを始めたり、「企業戦略」に加えたりしていく中小企業も増加しています。(参考)https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/pdf/h25_genjo2.pdf

中小企業がワークライフバランスを実現するために取り組むべきこと

多くのメリットのある「ワークライフバランス」の実現は、すぐに実施できることに注目し、実際に取り組むことがポイントとなります。

無駄な業務を極限まで減らす

「ノー残業デー」を設けたり、「休日出勤」を最小限にしたりするには、人材を増やせばよいというわけではありません。事業の内容によって労働時間が異なってくるとはいえ、作業内容の効率化を目指すことは大きなポイントです。さらに、各タスクの明確な切り分けを実施することも無駄な業務を明確にし、不要と思える業務を軽減する効果も期待できます。

代表者や管理職の人の意識改革をする

「ライフワークバランス」は、認知されているとはいえ途中経過にある状況ですが、中小企業の進展には欠かせないステップになっていくでしょう。そのためには、代表者などの社長や管理職、人事部、そして採用担当者が、「ワークライフバランス」の理解を深める必要があります。

これは、人材不足となっている各企業の救世主となります。会社にとって良い人材は自社で育て上げた人材がベストです。新卒や第二新卒、中途採用であれ、よい人材を育てたなら「確保・定着」させることが必要になります。そのためには、人生の成功を目標としつつも、持っているスキルを活かしながら仕事と生活を両立させる、つまり「ワークライフバランス」が欠かせないという意識改革が必須となります。そこで、企業の経営や採用にかかわる会社を取り仕切る位置にいる人は、「ビジネスマインド」に加える必要があるでしょう。

休暇制度など働きやすさに注力する

企業が「ワークライフバランス」に注目し、意識改革が進むなら、次のステップは実際的な取り組みを始めます。考えるだけでは改革も進まず、進展は見られません。そこで、実施しやすい休暇制度の見直しなどから始めることもできます。

1990年代のバブル崩壊や経済の停滞、2011年の東日本大震災など、企業も個人も周囲の取り巻く状況や環境は日ごとに変化することがあります。周囲が変わっても、各社員やその家族の責任が減少するということは少ないため、家族のための時間、リフレッシュのための休みが関係する休暇は注目すべき点といえます。

中小企業がワークライフバランスを取り入れるべき理由

定着率の向上

男性社員、女性社員の中には、共働きの家庭も多く、出産や育児、高齢者の家族の世話などのため支援を必要としている社員も急増しています。とくに、女性の場合は、育児や子育てのために退職を考えることも少なくありません。そこで、従業員の定着率を向上させるためには、出産や育児、家族の世話のために適切な支援を考え、従業員にとっての柔軟な働き方を提案することができます。

優秀な人材獲得につながる

以前は「終身雇用制度」と言えば、魅力的な就職先と考えるのが一般的です。しかし、時代の移り変わりとともに、終身雇用は過去のものとなりつつあります。しかし、優秀な人材を確保するために、「ワークライフバランス」による従業員を大切にする会社というイメージが強ければ、魅力的な就職先といえます。また、柔軟な働き方による企業であることが分かると、休暇が取りやすくなったり、持っているスキルを存分に使ってみたり、可能性が広がることが社員に伝わるでしょう。

スタッフの会社に対する愛着度向上

「自分の会社が気に入っている」と言われる企業を目指すことも、ワークライフバランスのメリットのひとつです。社員や職場のモチベーションを上げるには、自分の会社に対する愛着度が大きく影響します。これは、人材育成がスムーズに進み、職場内のコミュニケーションに好影響するので、自然と生産性が向上しやすくなります。

スタッフのパフォーマンスや業績の向上

ワークライフバランスの取り組みにより、個人や個人のスキルが高く評価され、会社で必要とされているという意識が持てるようになります。これは、パフォーマンスや業績の向上につながるので、とくに管理者クラスのリーダーにとって大きなポイント。上司が高評価されているのを見ると、新入社員や若手社員も大きな感化を受け、成長し活躍したいという意欲が強まります。

ワークライフバランス実現に向けた取り組み事例

リモートワーク

社外での業務や在宅ワーク、フリーランスを使った「リモートワーク」もワークライフバランスの取り組みといえます。企業と働くスタッフ側の信頼度が強ければ、スムーズに進めやすい方法とも言われてきました。そのため、どこで行う仕事であれ、企業情報のセキュリティ管理が会社の責任ともいえます。face to faceではないため、可能な範囲で時間を合わせて会議やミーティングを行う必要もあります。これにより、双方の信頼感を強め、ライフワークバランスを実現しやすくなります。

時短勤務などの積極的な導入

短時間勤務を導入する場合は、一日6時間労働となる正社員の採用や、現在在籍中の従業員から希望者採択します。これは、「勤務時間限定正社員」になり、通常の8時間勤務とは異なり、残業免除とすることが最善です。さらに、「勤務時間限定正社員」から、状況の変化に応じて8時間勤務となる正社員へのカムバックもスムーズになる制度も制定できるでしょう。

しかし、全従業員にメリットとならなければ意味がありません。導入する際に、8時間勤務や残業を行う従業員から不満が起きないように注意し、労基法による給与の差が問題とならないようにすることも必要です。そこで、「勤務時間限定正社員」以外の8時間勤務の社員への賞与を大幅上げるなど、報酬も必ず検討しましょう。

フレックスタイム

「フレックスタイム」は、企業戦略とも相性がよい制度のひとつ。これは、従業員の出社・退社時刻を個人で管理し、柔軟に働くことによってワークライフバランスが実現します。従業員が個人の必要(ライフ)を行う時間を取り分けることが可能になり、「フレックスタイム」を活用して勤務時間(ワーク)をコントロールできる、無理のない制度と言えるでしょう。

まとめ

「ワークライフバランス」の取り組みが進むと、業務効率が向上し、優秀な人材が長く活躍できる会社に変わっていきます。基本的に人材採用だけでは、社内の業務は改善されることは少ないでしょう。そこで、採用し、人材を獲得だけでなく従業員の持ち合わせたスキルを最大限活用し、優秀な人材が定着するように意識するなら魅力的な企業として活躍しやすくなります。

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